ピロリ菌について
ピロリ菌(Helicobacter pylori)は5歳以下の小児期に胃粘膜に経口感染し、急性胃炎から慢性胃炎を引き起こし、多くは生涯に渡って胃炎と感染が持続すると考えられています。
そして、この慢性胃炎を背景として、萎縮性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がんなど様々な上部消化管疾患が発症します。そのためピロリ菌感染症の方にピロリ菌除菌治療を行うことでこれらの病気を予防できることが考えられます。
これまで胃・十二指腸潰瘍の患者さんに対しましてはピロリ菌の検査や除菌治療が保険診療で行われております。一方、胃がんの発生と関わりが深いとされる慢性胃炎ですがピロリ菌感染に対する保険診療が認められていませんでしたので、自費治療で受けていただく必要がありました。
しかし平成25年2月21日から、胃内視鏡検査により慢性胃炎の所見が確認されれば保険診療でピロリ菌の検査や除菌治療が受けられることになりました。
ピロリ菌を調べる検査としましては血液や尿あるいは便を用いる方法などもありますが、保険診療上は内視鏡検査による病変の確認が前提となります。そのため内視鏡検査中に組織を採取して調べる方法(迅速ウレアーゼテストなど)がよく行われます。
ピロリ菌の治療
ピロリ菌を除去するためには内服治療が必要です。通常、抗生剤2種類と胃酸の分泌を強く抑える薬(PPI)1種類の計3種類を1日2回、7日間続けて内服する方法が行われます。
その除菌成功率は約70%程度といわれております。除去できなかった場合は抗生剤の種類を変えて再度内服していただく2次除菌治療が行われます。その場合は今のところ95%程度の成功率が認められております。ただし抗生剤に対しアレルギーの既往のある方は内服できません。
ピロリ菌の除菌判定の検査としましては通常、尿素呼気テストという方法で行います。除菌判定の検査法として最も正確であるとされていますが、より正しく判定するため除菌薬内服終了後6~8週間後以降に検査を受けていただきます。